この記事では、HubSpotとPendoの双方向インテグレーションによって利用できるようになる機能とその仕組みについて概説します。インテグレーションのセットアップ方法については、HubSpotとの双方向インテグレーションのセットアップを参照してください。
このインテグレーションは、双方向のHubSpotインテグレーションに先行した単方向のHubSpotインテグレーションとは異なります。単方向のHubSpotインテグレーションについては、HubSpotインテグレーション(レガシー)を参照してください。
PendoとHubSpot間で訪問者データやアカウントデータをプッシュ/プルするだけでなく、PendoのイベントをHubSpotに送信することで、顧客の健全性スコアやアウトリーチキャンペーンで、特定のページ、フィーチャー、トラックイベントのデータを活用できます。詳細については、PendoのイベントをHubSpotにプッシュするを参照してください。
概要
HubSpotとPendoの双方向インテグレーションにより、プロダクトの使用状況や顧客エンゲージメントをPendoとHubSpotのそれぞれで包括的に確認できます。HubSpotとPendoの接続設定を行うと、次のいずれかまたはすべてが可能になります。
- アカウント履歴や収益などのHubSpotの情報をプルしてPendoに取り込むことで、セグメントやアナリティクス、ガイドのターゲティングに活かせる追加のデータポイントを得られます。
- Pendoの訪問者データやアカウントデータをHubSpotにプッシュすることで、顧客対応チームやマーケティングチームが顧客についてより詳しく把握できます。
大まかに言うと、「プル」とは、HubSpotからPendoに入るデータを収集するプロセスで、「プッシュ」とは、PendoからHubSpotへデータを送信するプロセスになります。HubSpot情報をPendoにプルすると、より詳細なセグメント化が可能になり、HubSpotのプロパティを使用してアナリティクスのフィルタリングやガイドのターゲット設定が可能になります。Pendoの使用状況アナリティクスをHubSpotにプッシュすると、PendoのメンバーではないHubSpot上のチームに新たなデータを提供できます。
前提条件
- 有効なPendoサブスクリプション。
- Pendoの管理者ユーザー権限。
- HubSpotインテグレーションへのアクセス権。
- HubSpot APIの読み取りおよび書き込みアクセス権を持つ有効なHubSpotアカウント。
ユースケース
HubSpotのデータをPendoにプルすることで、CRMデータを以下のように活用できます。
- 顧客のセグメントやマーケティングキャンペーンに基づいたガイドのターゲティングを行うことができます。
- 顧客の種類、価格、アカウントの状況別にプロダクトの利用状況レポートを作成できます。
- PendoのプロダクトインサイトをHubSpotのトライアルコンバージョンやアップセルと組み合わせることができます。
- 収益増加につながるフィーチャーや使用パターンを見つけることができます。
Pendoの訪問者とアカウントのデータをHubSpotにプッシュすることで、以下のことが可能になります。
- 顧客のインタラクションを詳しく把握し、得られたインサイトを活用して顧客満足度やリテンションを向上します。
- プロダクト使用状況やセンチメントデータに基づいて、対象を絞ったアウトリーチキャンペーンを企画し、営業の機会を特定し、顧客とより良い関係を構築します。
- 行動データを活用して、アクションベースのワークフローによるマーケティング戦略の最適化と自動化を行います。
PendoのイベントをHubSpotに送信すると、次のことができるようになります。
- プロダクトエンゲージメント指標を顧客の健全性スコアに変換して、顧客満足度と顧客リテンションの向上に役立てる
- 特定のプロダクトの使用状況に基づいて販売機会を特定し、ターゲットを絞ったアウトリーチキャンペーンを作成する
- プロダクト内の行動データを活用して、アクションベースのワークフローによるマーケティング戦略の最適化と自動化を行う
仕組み
HubSpotとのインテグレーションでは、まず接続(マッピング)を設定してから、PendoとHubSpot間のプッシュとプルのいずれか、または両方を設定します。マッピングでも、プッシュとプルの設定でも、Pendoの訪問者オブジェクトとアカウントオブジェクトに属するフィールド、またはHubSpotのコンタクトオブジェクトと会社オブジェクトに属するプロパティを選択しますが、その目的はそれぞれ異なります。
マッピング
マッピングには「結合キー」の作成が含まれます。「結合キー」は、PendoとHubSpotのデータを結び付けるために選択する一意の識別子です。
- 訪問者をマッピングするには、Pendo訪問者ID(推奨)またはHubSpotのコンタクトプロパティと一致する訪問者メタデータの任意のフィールド(メールアドレスなど)を使用できます。
- アカウントをマッピングするには、PendoアカウントID(推奨)またはHubSpotのコンタクトプロパティと一致するアカウントメタデータの任意のフィールドを使用できます。
プッシュとプルを設定する
- プルの設定では、訪問者およびアカウントのメタデータとしてPendoに追加するHubSpotのプロパティを1つ以上選択します。
- プッシュの設定では、HubSpotに送信するPendoのフィールドを1つ以上選択し、それらをプロパティとして「プロパティグループ」にまとめます。
オブジェクトをマッピングしてプッシュまたはプルを設定したら、インテグレーションを有効化して、午前0時から午前1時(UTC)までの間に行われる自動日次同期を開始する必要があります。
マッピング
Pendoのデータは、訪問者オブジェクトとアカウントオブジェクトの2つに分類されます。これらのオブジェクトは、HubSpotのコンタクトオブジェクトと会社オブジェクトとの双方向の接続の対象となります。
- Pendoの訪問者はHubSpotのコンタクトと接続します。
- PendoのアカウントはHubSpotの会社と接続します。
プッシュまたはプルを設定する前に、まずはPendoのオブジェクトをHubSpotのオブジェクトにマッピングしてください。Pendoのオブジェクトに関連付けられたデータは「フィールド」と呼ばれます。HubSpotのオブジェクトに関連付けられたデータは「プロパティ」と呼ばれます。HubSpotに接続したいPendoのオブジェクトごとに、HubSpotのオブジェクトの個々のプロパティを対応するPendoのオブジェクトにマッピングする必要があります。これが「結合キー」になります。
結合キーを選択する際には、次のようにいくつかの選択肢があります。
-
訪問者については、次のいずれかを選択します。
- Pendo訪問者ID(通常はメールアドレス)。
- 訪問者メタデータの中で、HubSpotのコンタクトプロパティと一致する任意のフィールド。
- アカウントについては、次のいずれかを選択します。
- PendoアカウントID。
- アカウントメタデータの中で、HubSpotの会社プロパティと一致する任意のフィールド。
たとえば、メタデータのメールフィールドを使用して訪問者を結合することを選択できます。または、アカウントメタデータのカスタム会社識別子を使用してアカウントを結合することを選択することもできます。
Pendoで選択したフィールドの値は、対応するHubSpotプロパティと1対1で一致している必要があります。
この時点では、プッシュやプルではなく、一意の識別子間の接続のみを設定しています。この一意の識別子は、プル機能とプッシュ機能の両方の設定に使用されますが、このフィールド自体はプッシュやプルには関与しません。プッシュまたはプルされるのは、プッシュおよびプルの設定時に選択したPendoおよびHubSpotのオブジェクトに属するフィールド値です。
アカウントと訪問者の同期により、HubSpotで会社や連絡先が作成されることはありません。PendoのアカウントはHubSpotの既存の会社に、Pendoの訪問者はHubSpotの既存の連絡先にのみ接続できます。PendoがHubSpotで連絡先を作成する場合は、PendoイベントをHubSpotに送信するを参照してください。
「プル」の設定
HubSpotのデータをPendoにプルするには、HubSpotのコンタクトまたは会社オブジェクトのいずれか、または両方に属するプロパティを選択し、Pendoの訪問者とアカウントのそれぞれに対してメタデータとして追加します。その結果得られた訪問者およびアカウントのメタデータは、ガイドやアナリティクスのセグメントに使用できます。また、このメタデータをレポートに追加して、PendoでCRMデータを確認することも可能です。訪問者とアカウントは、過去180日以内にいずれかのアプリケーションでアクティブであった場合にのみ同期されます。
「プッシュ」の設定
PendoのデータをHubSpotにプッシュするには、HubSpotのプロパティとして送信するPendoの訪問者フィールドとアカウントフィールドを1つ以上選択する必要があります。訪問者とアカウントは、過去180日以内にいずれかのアプリケーションでアクティブであった場合にのみ同期されます。
HubSpotにプッシュできるフィールドは以下のとおりです。
- 初回訪問(First Visit):訪問者またはアカウントがPendoで最初にアクティビティを行った日付。
- 最終訪問(Last Visit):訪問者またはアカウントがPendoで最後にアクティビティを行った日付。
- 使用状況の傾向(Usage Trending):過去180日、90日、30日間とそれ以前の180日、90日、30日間のアクティビティの割合の変化。
- 最新の投票とアンケート調査の回答(Latest Poll Response):選択したアンケートへの最新の回答(訪問者のプッシュのみ)。これには、NPS調査への数値の回答と自由記入式の回答が含まれます。
- NPSスコア(NPS Score):過去180日間の選択したNPS調査から計算されたNPSの数値スコア(アカウントのプッシュのみ)。
- 投票とアンケート調査の平均(Poll Average): 過去180日間の選択した数字による選択肢の投票とアンケート調査の平均値(アカウントのプッシュのみ)。
- アクティブ日数(Days Active):過去180日、90日、30日間に訪問者またはアカウントがアプリケーションでアクティブだった日数。
- アプリの滞在時間(Time on App):過去180日、90日、30日間に訪問者またはアカウントがアプリケーションに費やした時間(分)。
- 総訪問者数(# of Total Visitors)(アカウントのプッシュのみ):アカウントに属する訪問者の数。
プッシュするフィールドは、HubSpotではPendoの「プロパティグループ」としてまとめられます。これにより、HubSpotユーザーはどのプロパティがPendoフィールドを基に作成されたものであるかを把握できます。
連絡先と会社の重複
複数のHubSpotのコンタクトや会社がそれぞれ単一のPendoの訪問者やアカウントにマッピングされている場合、重複するすべてのバージョンが同期から削除されます。つまり、Pendoの訪問者やアカウントも、HubSpotのコンタクトや会社も更新されません。
同様に、複数のPendoの訪問者またはアカウントが、単一のHubSpotのコンタクトまたは会社にマッピングされる同じ結合キーの値を共有している場合、重複するすべてのバージョンが同期から削除されます。つまり、Pendoの訪問者、Pendoのアカウント、HubSpotの会社、HubSpotのコンタクトは更新されません。
これらの対策により、PendoとHubSpot間のあいまいまたは不正確なマッピングを防止して、データの整合性が確保されます。
HubSpotへのイベントの送信
PendoとHubSpot間でアカウントと訪問者のデータを同期することに加え、Pendoのページ、フィーチャー、トラックイベントのデータを「カスタムイベント」としてHubSpotにプッシュできます。
PendoのイベントをHubSpotに送信する前に、HubSpotの訪問者の同期を設定することをお勧めします。これにより、PendoはメールではなくHubSpotレコードIDを使って訪問者を同期できるようになります。
イベントに関連する訪問者がまだHubSpotのコンタクトになっていない場合、このインテグレーションによりHubSpotにコンタクトが作成されます。
手順については、PendoイベントをHubSpotに送信するを参照してください。