Salesforceを使用すると、コネクタやAPIコールを追加せずに、PendoとGainsightの間でデータを受け渡しできます。
この記事では、機能の概要とこのインテグレーションの設定方法について説明します。ここで説明する手順は、コーディング不要でGainsight管理者が実行できます。Gainsightサービスに代理で設定を依頼する場合は、費用についてGainsightサポートまでお問い合わせください。
ユースケース
Salesforceを使用してPendoをGainsightに接続すると、以下のことが可能になります。
- Gainsightデータの強化:Pendoのプロダクト使用状況データをGainsightにプッシュします。
- カスタマイズされたメッセージの作成:Gainsightのデータに基づいて、アプリ内メッセージ、ガイド、アンケートを訪問者に配信します。
Gainsightデータの強化
GainsightとSalesforceを併用することで、顧客(アカウント)レベルと個人(訪問者)レベルの両方でのPendoの詳細な使用状況をGainsightの顧客データに組み込むことができます。以下のようなPendoの主要なKPIで、Gainsightの健全性スコア、ワークフロー、使用状況レポートを強化します。
- ログイン頻度
- アプリケーション滞在時間
- 使用した機能
- アカウントごとのユーザー総数
このようなプロダクトデータをPendoからGainsightに追加することで、以下のことが可能になります。
- 利用率が低下しているアカウントのカスタマーサクセスフォローアップを優先します。
- アップセルや拡大の可能性がある行動パターンを特定し、調整されたワークフローとアウトリーチでフォローアップします。
- サインイン頻度やサイト滞在時間などのプロダクト使用状況指標を健全性スコアに組み込み、どのプロダクトの行動が最も高い健全性スコアを促進するかを分析します。
- 一定期間活動のないユーザーに対して、オフラインでのアプローチを促します。
- 一対多の規模でパーソナライズされたインタラクションを提供することで、訪問者が最も受け入れやすく、メッセージが最も関連性の高いタイミングで訪問者を惹きつけます。
カスタマイズされたメッセージの作成
Gainsightのデータを使用して、Pendoのカスタムアプリ内ガイドで特定のユーザーセグメントをターゲットにすることも可能です。以下のようなデータに基づいてセグメントを作成できます。
- 今後の更新
- 解約リスク
- オンボーディングステータス
GainsightからPendoにデータを追加することで、以下のことが可能になります。
- Gainsightの顧客インサイトに基づいて、カスタマイズされたヘルプ、メッセージ、アンケートをアプリ内で直接作成します。
- 今後の更新や重要なライフサイクルのマイルストーンをアプリケーションのユーザーに通知します。
- ユーザーの役割に応じて最も関連性の高いフィーチャーを紹介するように、ユーザーのオンボーディングを調整します。
- 特定のガイドとメッセージを表示して、アンケートの回答や全体的な健全性に基づいて顧客の定着化を促進します。
前提条件
- アカウントレベルでデータをプッシュおよびプルするよう設定されたPendoとSalesforceのインテグレーション。手順については、PendoとSalesforceのインテグレーションを設定するを参照してください。
- Pendoサブスクリプションへの管理者アクセス
- Salesforceの管理者権限
- Gainsightの管理者権限
- PendoとSalesforceのインテグレーションと同じSalesforce環境にインストールされ、アクティブなGainsight管理パッケージ(アプリ)
Gainsightのインストールリンクとガイドについては、Salesforce Appexchangeを参照してください。
仕組み
Pendoは、SalesforceとPendoのインテグレーションを通じてGainsightに接続されています。
注:Salesforceインテグレーションは、24時間ごとに同じSalesforceオブジェクトからデータをインポートし、同じSalesforceオブジェクトにデータをプッシュします。また、Pendoの[データマッピング(Data Mappings)]ページからオンデマンドでデータ同期をプッシュすることもできます。「プル」と「プッシュ」の両方が設定されている場合、手動か自動かに関係なく、両方の同期が実行されます。
- Pendoから使用状況データがSalesforceフィールドにプッシュされ、より広範囲の測定や営業/カスタマーサクセスのワークフローに組み込まれます。
- Salesforceフィールドを訪問者やアカウントのメタデータとしてPendoにプルして、ユーザーセグメントの定義やアプリ内ガイドのターゲティングに使用することも可能です。
Salesforceとのインテグレーションを使用してGainsightをPendoに接続すると、Salesforceアカウントオブジェクトに属するカスタムフィールドがGainsightとPendo間のデータ共有と受け渡しに使用されます。Gainsightルールは、カスタムアカウントフィールドとの間でカスタムデータを更新します。
ベストプラクティス
Salesforceアカウントオブジェクトを使用して、GainsightとPendo間でデータを受け渡すことをお勧めします。Pendoでは訪問者レベルのデータをSalesforceと共有することもできますが、データ転送はアカウントレベルで行うことをお勧めします。
Pendoは任意のSalesforceオブジェクトの参照と更新が可能なため、プロダクトデータをGainsightの使用状況データオブジェクト(Usage Data Object)などに直接プッシュできますが、このやり方は推奨しません。これは、Pendoのインテグレーションが、データのインポートとプッシュを同じSalesforceオブジェクトに対して行っているためです。Gainsightの使用状況オブジェクトに直接連携させると、プルできるデータが制限されてしまいます。Salesforceのアカウントオブジェクトを内部の「交換所」として使用して、GainsightとPendoの間でデータをやり取りすることをお勧めします。
ステップ1. Salesforceでアカウントオブジェクトを準備する
Gainsightに渡す各測定値について、Salesforceアカウントオブジェクトにカスタムフィールドを作成して追加する必要があります。これには、以下の目的でSalesforceにカスタムアカウントフィールドを追加する手順が含まれます。
- GainsightにプッシュされるPendoデータの保持
- PendoにプッシュされるGainsightデータの保持
Pendoデータを保持するためのカスタムフィールドを作成する
Salesforceアカウントオブジェクトに変更を加える前に、Gainsightと同期したいデータについて検討します。一般的なデータには、以下のようなものがあります。
- 過去30日間または過去7日間のアクティブ訪問者
- 過去30日間または過去7日間のサイト滞在時間
- 最終訪問日
- 過去30日間または過去7日間のフィーチャーXのクリック数
- NPS回答の合計
- アカウントNPSスコア
連携するフィールドを決定したら、これらのフィールドをSalesforceアカウントオブジェクトに追加して、受信データをGainsightにプッシュできるようにします。次のようにフィールドを設定します。
Pendoの測定値 | Salesforceアカウントのカスタムフィールド名* | 推奨Salesforceラベル |
過去30日間のアクティブな訪問者 | Pendo_numberofvisitors_last30d | Pendo Number of Visitors (Last 30d) |
過去30日間のサイト滞在時間 | Pendo_timeonsite_last30d | Pendo Time On SIte (Last 30d) |
最終訪問日 | Pendo_lastvisit_last30d | Pendo Lasts Visit (Last 30d) |
*各Salesforceフィールドには、フィールド名の先頭に「Pendo_」を付与する必要があります。Pendoは、この規約に従ったフィールド名に対してのみ更新を行います。
Gainsightデータを保持するためのカスタムフィールドを作成する
さらに、GainsightからPendoに取り込むデータ用のカスタムフィールドを作成する必要があります。
受信したPendoデータを保持するためのカスタムフィールドの作成とは異なり、Gainsightデータを保持するためのカスタムフィールドの作成には命名上の制限はありません。ただし、次のことをお勧めします。
- 意味のある命名規則を使用すること。
- データ型に一貫性があること。たとえば、GainsightからPendoに顧客の健全性スコアの数値を渡す場合、アカウントオブジェクトで作成するフィールドのデータ型が一致している必要があります。
ステップ2. GainsightデータをPendoに取り込むための「プル」を設定する
Salesforceとのインテグレーションが未設定の場合、PendoとSalesforceのインテグレーションを設定するの手順に従い、PendoとSalesforceをアカウントレベルで接続するための初期マッピングを設定していることを続行前に確認します。詳細については、概要記事SalesforceとPendoのインテグレーション内の接続の確立を参照してください。
SalesforceとPendo間のマッピングの設定後、GainsightからPendoにプルするフィールドを選択します。
- [設定(Settings)]>[データマッピング(Data Mappings)]に移動し、[アカウントレベルデータ(Account Level Data)]タブを開きます。
- ページ下部の青色のボックス内にある[Salesforceアカウントとのインテグレーション(Salesforce Account Integration)]までスクロールします。
- 初期接続の設定手順は以下のとおりです。
- アカウントレベルですでにSalesforceとのインテグレーションがマッピングされている場合、[マッピングを設定(Setup Mapping)]を選択します。
- Salesforceとのインテグレーションを初めて設定する場合は[開始(Begin)]を選択し、SalesforceとPendoのインテグレーションを設定するで説明されている接続の設定手順に従います。
- [Pendoに追加するフィールドを選択する(Pick Fields to Add to Pendo)]ボックスで、GainsightからPendoにプルするフィールドを選択します。ステップ1でGainsightデータを保持するために追加したアカウントフィールドのいずれかを選択できます。
- [完了(Done)]を選択します。
インテグレーションの設定完了後にフィールドがマッピングされると、Pendoは24時間おきにSalesforceとのデータ同期を行います。
ステップ3. Pendoの「プッシュ」を設定する
Salesforceアカウントオブジェクトを介してGainsightデータをPendoにプルするメカニズムを設定したら、PendoがデータをSalesforceにプッシュバックするために使用するレポートを設定する必要があります。
プッシュデータ同期の設定手順については、PendoとSalesforceのインテグレーションを設定するを参照してください。SalesforceプッシュでGainsightとPendoを接続するには、以下の手順を特にお勧めします。- [ピープル(People)]>[アカウント(Accounts)]に移動し、[アカウントレポート(Account Reports)]タブを開きます。
- ページの右上にある[+レポートを作成(+ Create Report)]を選択します。
- レポートにわかりやすい名前を付けます。
- [可視性(Visibility)]を選択し、必要に応じて[アプリ(App)]を選択します。
- [セグメント(Segment)]が[全員(Everyone)]に設定されていることを確認します。
- [日付範囲(Date Range)]を選択します。この選択によりGainsightに結果をプッシュする頻度を決定し、日付範囲ごとに異なるレポートを使用できます。たとえば、7日間の訪問者と30日間の訪問者の両方をGainsightに同期できるようになります。
- レポートに追加するフィールドを選択します。Gainsightに追加するすべてのフィールドを選択します。
- [レポートを作成(Create Report)]を選択します。
レポートの作成後、レポートフィールドをSalesforceのアカウントオブジェクトに属する対応するフィールドにマッピングできます。
- アカウントレポート概要にある[Salesforceプッシュ(Salesforce Push)]行で[設定(Set up)]を選択します。
- 開いたウィンドウで、レポートの列をSalesforceフィールドにマッピングします。Pendoは同じSalesforceオブジェクトから参照と更新を行うため、データフィールドのプッシュはSalesforceのアカウントオブジェクトにのみ可能です。
- [日次の同期(Daily Sync)]がオンになっていることを確認します。これがオンになっていれば、Pendoは指定したレポートフィールドからマッピングされたSalesforceフィールドに24時間ごとにデータをプッシュします。
- [設定を保存(Save Settings)]を選択します。
ステップ4. Gainsight使用状況データオブジェクトにPendoフィールドを追加する
PendoがSalesforceアカウントオブジェクトからフィールドの参照と更新を行うよう設定したら、次にGainsightとの間でデータを送受信できるよう設定する必要があります。
測定値をGainsightで作成および追加します。測定値に付ける名前は、どの値を表しているか明確になるようわかりやすいものにしてください。詳細については、Gainsightの記事の測定値と測定値グループを作成するを参照してください。
Salesforceオブジェクトではなく、Gainsight MDAにデータをプッシュすることもできます。この設定では、週次または月次以外の頻度でデータを保存できます。
Pendoの使用状況データをSalesforceまたはMDAのGainsightオブジェクトに書き込む場合、最初にPendoからSalesforceにデータを渡す必要があります。その後、Gainsightのルールエンジンを使用して、いずれかのデータストアにデータをインポートします。
ステップ5. 「Usageへのロード」Gainsightルールを追加する
GainsightにPendoデータを送信するには、Gainsight管理コンソール内でルールを作成する必要があります。
アカウントオブジェクトフィールドをGainsightに移動する
- Gainsightの[管理者(Administration)]タブで、[ルールエンジン(Rules Engine)]に移動します。
- [+ルール(+ Rule)]を選択して新しいルールを作成します。これにより、[ルールを編集(Edit Rule)]画面が開きます。
- [ルールタイプ(Rule Type)]で[カスタム(Custom)]を選択します。
- [ルール(Rule For)]の[アカウント(Account)]を選択します。
- 「Pendoアカウントから使用状況プッシュ」など、わかりやすい[ルール名(Rule Name)]を選択します。
- [次へ(Next)]を選択します。これにより、[ルールを設定(Setup Rule)]画面が開きます。
- [ネイティブデータ(Native Data)]を選択します。
- ドロップダウンメニューから[アカウント(Account)]を選択します。
- フィールドのIDリストから、以下のフィールドを[表示(Show)]ボックスに追加します。
- Account::ID (アカウントオブジェクトのID)
- アカウントに追加したすべてのカスタムPendoフィールド
- [フィルター(Filters)]セクションの下にある[Gainsightのお客様のみに適用(Apply to Gainsight customers only)]を選択します。
- [次へ(Next)]を選択します。これにより、次のステップに必要な[アクションを設定(Setup Action)]画面が開きます。
ルールを設定する
- 中断した[アクション設定(Action Configuration)]画面から、[Usageへのロード(Load to Usage)]アクションタイプを作成します。SalesforceアカウントオブジェクトフィールドをGainsightに移動する手順で[表示]ボックスに追加したフィールドが画面の左側に表示されます。
- 画面の右側で、ステップ4で[使用状況データ(Usage Data)]オブジェクトに追加した対応するフィールドにこれらのフィールドをマッピングします。
- フィールドマッピングを追加します。右上の[+フィールドマッピング(+ Field Mapping)]を選択してから[使用状況データ集計レベル名(Usage Data Aggregation Level Name)]を選択し、データがアカウントレベルであることを示すためにスペースなしで「ACCOUNTLEVEL」と入力します。
- 別のフィールドマッピングを追加します。右上の[+フィールドマッピング]を選択してから[日付(Date)]を選択し、後続する値として[ルール日付(Rule Date)]を選択します。
- [保存(Save)]を選択し、画面上部の番号付きパンくずリストから[スケジュール(Schedule)]を選択します。
- 日次でルールを実行するタイミングを設定します。このタイミングはPendoのデータプッシュの頻度と一致するため、更新された使用状況データを常にPendoに追加できます。
- [保存]を選択します。
ステップ6. 「SFDCへのロード」Gainsightルールを追加する
最後に、Pendoで利用したいGainsightデータをSalesforceオブジェクトに同期します。これには、Gainsight管理者コンソールでルールをもう1つ作成する必要があります。
適切なGainsightルールを追加するには、以下の手順を実施します。
- アカウントオブジェクトフィールドをGainsightに移動するためのルールを作成します。
- Gainsightルールがアカウントオブジェクトを更新する機能を有効にします。
- ルールアクションを設定します。
Gainsightフィールドをアカウントオブジェクトに移動する
- Gainsightの[管理者(Administration)]タブで、[ルールエンジン(Rules Engine)]に移動します。
- [+ルール]を選択して新しいルールを作成します。これにより、[ルールを編集]画面が開きます。
- [ルールタイプ(Rule Type)]で[カスタム(Custom)]を選択します。
- [ルール(Rule For)]の[アカウント(Account)]を選択します。
- 「GainsightからアカウントへのPendo同期」など、わかりやすい[ルール名]を選択します。
- [次へ(Next)]を選択します。これにより、[ルールを設定(Setup Rule)]画面が開きます。
- [ネイティブデータ(Native Data)]を選択します。
- ドロップダウンメニューから[顧客情報(Customer Info)]を選択します。
- フィールドのリストから、以下のフィールドを[表示]ボックスに追加します。
- Account::ID (アカウントオブジェクトのID)
- Pendoでアクションを促すすべてのGainsightフィールド
- [フィルター(Filters)]セクションの下にある[Gainsightのお客様のみに適用(Apply to Gainsight customers only)]を選択します。
- [次へ(Next)]を選択します。これにより、次のステップに必要な[アクションの設定(Setup Action)]画面が開きます。
ルールアクションを設定する
ルールのアクションを設定する前に、Gainsightルールがアカウントオブジェクトを更新する機能を有効にする必要があります。更新先のすべてのフィールドとアカウントIDフィールドを有効にします。続いて、以下の手順を実施します。
- 中断した[アクションを設定]画面から、[SFDCへのロード(Load to SFDC)]アクションタイプを作成します。
- オブジェクト名として[アカウント]を選択します。
- 動作として[更新(Update)]を選択します。
- GainsightフィールドをSalesforceアカウントオブジェクトに移動する手順で[表示]ボックスに追加したフィールドが画面の左側に表示されます。画面の右側で、ステップ1でアカウントオブジェクトに追加した対応するフィールドにこれらのフィールドをマッピングします。
- [Account::Id文字列(Account::Id STRING)]マッピングの[識別子に含める(Include in identifiers)]を選択します。
- [保存]を選択し、画面上部の番号付きパンくずリストから[スケジュール]を選択します。
- 日次でルールを実行するタイミングを設定します。このタイミングはPendoのデータプッシュの頻度と一致するため、更新された使用状況データを常にPendoに追加できます。
- [保存]を選択します。