リテンションは、ユーザーが時間の経過とともにプロダクトに戻ってきているかどうかを把握するのを支援し、プロダクトの成長と顧客エンゲージメントに関するインサイトを提供します。
リテンション分析はコホート分析とも呼ばれ、特定期間の新規訪問者など、共通の特性や行動に基づいてユーザーをグループ化します。このアプローチは、プロダクトチームがユーザーの行動傾向を追跡し、リテンション戦略の有効性を評価するのに役立ちます。
リテンション率が高い場合は、ユーザーがプロダクトに価値を見出し、プロダクトを使い続ける可能性が高いことを示しており、顧客ロイヤルティと収益の増加につながります。対照的に、リテンション率が低い場合は、不満や離脱の可能性を示し、プロダクトやユーザー体験の改善や調整の必要性を促しています。
ヒント:リテンションの概念と考慮事項の概要については、リテンションレポートに関するよくある質問をご覧ください。
リテンション分析では、次の2つのコホートタイプを測定します。
- 新規ユーザーリテンション:指定された時間枠内にプロダクトに再度アクセスする初回訪問者またはアカウントの割合を測定し、初回ユーザー体験とユーザー獲得戦略の有効性に関するインサイトを提供します。
- すべてのユーザーリテンション:長期にわたってプロダクトに関わり続ける訪問者やアカウントの割合を測定し、ユーザーベースの長期的な満足度とロイヤルティを反映します。
注:リテンションレポートには、識別済みユーザーのデータのみ表示されます。匿名の訪問者のデータは含まれません。
リテンションレポートの作成
新しいリテンションレポートを作成するには、左側のメニューから[行動(Behavior)]を選択し、[レポートを作成(Create report)]>[リテンション(Retention)]を選択します。
ステップ1. アクティビティソースを定義する
[アクティビティソース(Activity Source)]の選択によって、リテンション分析に含まれるアプリとアクティビティが決まります。これは、訪問者またはアカウントの最初のインタラクションを示す開始イベントと、その後のエンゲージメントを示す復帰イベントの両方の役割を果たします。
アクティビティソースを選択するには、クエリビルダーの[アクティビティソース]フィールド内の[編集(Edit)]アイコンを選択するか、レポートの右側の空の状態から[+アクティビティを選択(+ Select activity)]を選択して[アクティビティを選択(Select activity)]ウィンドウを開きます。
最初のドロップダウンメニューで、リテンションを測定するアクティビティの種類を選択します。
- 任意のアクティビティ(Any Activity)。特定のアプリまたはアプリグループを選択でき、選択したアプリのすべてのページ、フィーチャー、トラックイベントのアクティビティが含まれます。訪問者がそのアプリ内で何らかのアクティビティを生成すると、リテンション率が増加します。
- イベント(Events):特定のページ、フィーチャー、トラックイベントを選択できます。リテンション率は、その特定のイベントと訪問者とのインタラクションがあった場合にのみ増加するため、任意のセグメントの特定のページ、フィーチャー、またはトラックイベントを正確に測定できます。
アクティビティの種類を選択したら、提供されているフィルターと検索フィールドを使用して、特定のアプリ、アプリグループ、またはイベントを見つけて選択します。
ステップ2. コホートタイプを選択する
[コホートタイプ(Cohort Type)]では、新規の訪問者またはアカウントのリテンションを測定するか、すべての訪問者またはアカウントのリテンションを測定するかを選択できます。この区別により、新規ユーザーリテンションとすべてのユーザーリテンションの2つのコホートタイプに分類されます。
新規ユーザーリテンションは、アプリや特定のイベントを初めて操作した訪問者やアカウントに焦点が当てられます。オンボーディングプロセスやユーザー獲得戦略の有効性を評価する場合は、新規ユーザーリテンションで測定します。
すべてのユーザーリテンションは、ユーザーが新規ユーザーであるか、以前にイベントに関与したかに関係なく、選択したセグメントに含まれるすべてのユーザーリテンションを測定します。継続的にプロダクトをリピートしている訪問者またはアカウントの数を知りたい場合は、すべてのユーザーリテンションで測定します。
注:アカウントのリテンションを測定する場合、そのアカウントから少なくとも1人の訪問者と指定したアプリやイベントとの間にインタラクションが発生する必要があります。
新規ユーザーリテンション
新規ユーザーリテンションは、指定された時間枠内にプロダクトに再度アクセスしたり、特定のイベントに関与した初回訪問者またはアカウントの割合を測定します。
アプリ内の[任意のアクティビティ(Any activity)]の新規ユーザーリテンションを測定する場合、訪問者やアカウントの「初回訪問」値によって、リテンション分析に含まれるユーザーが決まります。
特定のイベント(ページ、フィーチャー、トラックイベント)の新規ユーザーリテンションを測定する場合、そのイベントの訪問者またはアカウントの初回インタラクションによって、リテンション分析に含まれるユーザーが決まります。
新規ユーザーリテンションを計算するには、その後の期間に選択したイベントまたはアプリに再アクセスした初回訪問者数またはアカウント数を、該当月までに定着する可能性があった訪問者数で割ります。(つまり、プロダクトライフサイクルの該当月までに十分な期間滞在していない訪問者は母数から除外されます。)
すべてのユーザーリテンション
すべてのユーザーリテンションは、新規ユーザーか復帰ユーザーかに関係なく、時間の経過とともにプロダクトやイベントに関与し続けるすべての訪問者またはアカウントの割合を追跡します。
すべてのユーザーリテンションを測定する場合、純新規訪問者やイベントに最初にアクセスした訪問者ではなく、選択したセグメントに含まれるすべての訪問者のリテンションを測定します。
すべてのユーザーリテンションを計算するには、該当するコホート期間にアプリに再アクセスしたユーザー数を、該当月までに定着する可能性があった訪問者数で割ります(つまり、プロダクトライフサイクルの該当月までに十分な期間滞在していない訪問者は母数から除外されます)。
ステップ3. コホートサイズを選択する
[コホートサイズ(Cohort size)]では、ユーザーベースを月、週、または日のコホートのどれに分割するかを選択します。
リテンション分析では、1か月は30日、1週間は7日と定義されています。つまり、個々の訪問者やアカウントには、それぞれ30日間または7日間のタイムフレームがあり、それがコホートにまとめられます。
データを30日単位で表示する[1か月(1 Month)]のコホートサイズを使用した場合、各訪問者またはアカウントのタイムフレームの算出方法は以下のとおりです。
初回訪問 | 0か月目 | 1か月目 | 2か月目 | |
ユーザーA | 4月15日 | 4月15日〜5月14日 | 5月15日〜6月13日 | 6月14日〜7月13日 |
ユーザーB | 4月30日 | 4月30日〜5月29日 | 5月30日〜6月28日 | 6月29日〜7月28日 |
同様に、データを7日単位で表示する[1週間(1 Week)]のコホートサイズを使用した場合、各訪問者またはアカウントのタイムフレームの算出方法は以下のとおりです。
初回訪問 | 第0週 | 第1週 | 第2週 | |
ユーザーA | 4月15日 | 4月15日〜4月21日 | 4月22日〜4月28日 | 4月29日〜5月5日 |
ユーザーB | 4月30日 | 4月30日〜5月6日 | 5月7日〜5月14日 | 5月15日〜5月21日 |
ステップ4. セグメントを選択する
デフォルトのセグメントは、プロダクトやアプリを訪問した[全員(Everyone)]に設定されています。必要に応じて、希望する対象グループを変更できます。
アカウントレベルベースのルール(例:Account ID = Acme Org
)を持つセグメントを使用する場合、指定された条件を満たすアカウントの訪問者リテンションを測定します。たとえば、リテンションフィルターが[すべてのアクティビティ]、[新規訪問者(New visitors)]、[1週間]、[過去6週間](4月1日から5月13日まで)に設定されているとします。
- 訪問者Aが3月1日に
Account ID = Globex Co
で初めてアプリを訪問した場合、セグメントが[全員]に設定されているとレポートには表示されません。 - 一方、セグメントが
Account ID = Acme Org
に設定され、Account Acme Orgに紐づいた訪問者Aの初回イベントが5月1日であった場合、訪問者Aはレポートに表示される可能性があります。
ステップ5. 日付範囲を選択する
[日付範囲(Date Range)]は、リテンションが測定される期間と表に表示される内容を決定します。コホートサイズの選択に応じて、週または月を選択できます。
コホートサイズとして[1週間]を使用する場合、デフォルトの日付範囲は[過去6週間(Last 6 Weeks)]、[過去9週間(Last 9 Weeks)]、[過去12週間(Last 12 Weeks)]です。コホートには1週間全体のデータが含まれ、各週のコホートは日曜日から始まるよう調整されます。
たとえば、今日の日付が5月6日(水)で、コホートサイズが[1週間]、日付範囲が[過去6週間]の場合、リテンションの表には以下の6週分の1週間単位のコホートデータが表示されます。
- 3月22日(日)〜3月28日(土)
- 3月29日(日)〜4月4日(土)
- 4月5日(日)~4月11日(土)
- 4月12日(日)~4月18日(土)
- 4月19日(日)~4月25日(土)
- 4月26日(日)~5月2日(土)
5月3日(日)〜5月6日(水)は、デフォルトの日付範囲である[過去6週間]には含まれません。この期間は1週間全体ではなく週の一部分だからです。
ステップ6. レポートを実行する
選択後、クエリビルダーの右下にある[実行(Run)]を選択してリテンションレポートを生成します。
レポートのスペースを最大化するには、クエリビルダーの左下にある[クエリを折りたたむ(Collapse query)]アイコンを選択します。クエリビルダーの右端をドラッグしてサイズを変更することもできます。
リテンションレポートの解釈
レポートを実行すると、折れ線グラフと詳細表が表示されます。
時間の経過に伴う傾向グラフ
折れ線グラフには、クエリで選択した内容に基づいた、時間の経過に伴うリテンションの傾向が表示されます。X軸はクエリで設定された期間、Y軸はその期間中に定着した訪問者またはアカウントの割合です。
データポイントにカーソルを合わせると、前の期間から定着しているユーザーの割合と、ある期間から次の期間へのリテンションの差を見ることができます。また、データポイントを選択して、そのコホートに関連する定着したユーザーや離脱したユーザーを表示することもできます。
レポートの各行がコホートを表すため、リテンション分析はコホート分析とも呼ばれます。コホートは、タイプ(新規またはすべて、訪問者またはアカウント)とサイズ(週または月)によって定義されます。
現在の週または月を含む期間を測定する場合、グラフの最後に常に離脱が表示されます。ユーザーが定着したかどうかを適切に判断するには、次の期間(週または月)を完了(7日または30日の期間を終える)する必要があるためです。次の期間が完了すると、この期間のデータが完全に反映されます。
たとえば、このレポートを7月15日に実行した場合、6月のグラフには離脱が表示されます。これは、7月がまだ終了していないため、6月のユーザーが7月に定着したかどうかを測定するためのデータがまだ完全ではないためです。
直近の期間で終わらない、前の期間のカスタム範囲を表示している場合は、実際に離脱が発生した場合にのみデータに離脱を表示します。
グラフに表示されるコホートを更新するには、グラフの右上にあるドロップダウンを使用します。X軸と詳細表は、このコホートのデータに合わせて自動的に更新されます。
[データラベルを表示(Show data labels)]チェックボックスを選択すると、グラフの各データポイントの上に割合が追加されます。
グラフをPNG画像ファイルとしてエクスポートする場合は、グラフの右上にある[PNGをダウンロード]アイコンを選択します。
詳細表
詳細表は折れ線グラフのすぐ下にあります。デフォルトでは、グラフの内訳が表示されます。これは、折れ線グラフ内のドロップダウンで選択したコホートについて、折れ線グラフにプロットされたすべてのデータを視覚的に表したものです。
表のタイトルを選択してから[コホートの内訳(Cohort breakdown)]を選択すると、各コホートのリテンションの内訳を表示できます。
[コホートの内訳]ビューでは、各行がコホートを表します。コホートは、タイプ(新規またはすべて、訪問者またはアカウント)とサイズ(週または月)によって定義されます。
行内の各セルは特定のコホートのリテンションを表し、各週または月が経過した後にアプリまたは特定のイベントに再アクセスした訪問者またはアカウントの割合を示します。
レポートの配色は、さまざまなリテンション率に対応しています。
- 最も濃い青:80〜100%のリテンション
- 2番目に濃い青:60〜79%のリテンション
- 中間の色合いの青:40〜59%のリテンション
- 2番目に明るい青:20〜39%のリテンション
- 最も明るい青:0〜19%のリテンション
最初の週または月([第0週(Week 0)]または[0か月目(Month 0)])は、コホート内のすべての訪問者がアプリまたは特定のイベントにアクセスしたため、リテンションは常に100%と表示されます。(これが該当するコホートに属する条件となります。)
2週目または2か月目([第1週(Week 1)]または[1か月目(Month 1)])には、選択したコホートサイズに応じて、その後7日間または30日間にプロダクトに再アクセスしたユーザー数が表示されます。
たとえば、2023年12月に合計100人の訪問者があり、リテンションレポートに訪問者の33%が[1か月目]に再アクセスしたことが示されている場合、100人の訪問者のうち約33人が、後続する30日以内(プロダクトライフサイクルの30日から60日の期間)にアプリを再度使用したり、特定のイベントに再度参加したりしたことが分かります。
すべてのセルは互いに独立しているため、場合によってはパーセンテージが増加し、その期間中にアプリを使用した訪問者が増えたことを示すことがあります。
ヒント:増加が見られた場合は、その理由を調査しましょう。たとえば、ユーザーのプロダクト離脱を防ぐためにガイドを公開したり、サポートチームがより多くの問題を解決してユーザーの再アクセスを促進したりしたのでしょうか?増加理由を特定することは、今後の戦略の指針となります。
パーセンテージの横のアスタリスク(*)は、該当するコホートにはその月(30日単位)または週(7日単位)の終わりまでに残りの期間があるため、数値が変化する可能性があることを示しています。
新規ユーザーリテンションでの訪問者またはアカウントは、純新規訪問者または新規アカウントになるか、初回の一度しかイベントに関与しないため、1つのコホートにのみ表示されます。したがって、表の一番上の行は、各コホートの全訪問者の総数を表します。
すべてのユーザーリテンションでの訪問者は、ソースとのインタラクションが発生した各コホートに表示されます。1人の訪問者が数か月にわたってアプリに再アクセスした場合、複数のコホートに表示される可能性があるため、表の一番上の行に各コホートの全訪問者の総数は反映されません。代わりに、一番上の行には、その期間に指定したソースとのインタラクションがあったすべての一意の訪問者が反映されます。
詳細表をCSVファイルとしてエクスポートする場合は、表の右上にある[CSVをダウンロード(Download CSV)]アイコンを選択します。このエクスポートには、そのときに表に表示されているデータが入ります。
定着ユーザーと離脱ユーザーを表示する
グラフ内のデータポイントまたは詳細表内のセルを選択すると、パネルが開き、指定された期間に定着した一意の訪問者またはアカウントのリストが表示されます。このリストには、特定のコホートの割合を構成する一意のユーザー総数が表示され、最大250件の訪問者IDまたはアカウントIDのプレビューが一覧表示されます。訪問者IDまたはアカウントIDを選択すると、訪問者またはアカウントの詳細ページに移動します。
同様に、[離脱した訪問者(Dropped visitors)]または[離脱したアカウント(Dropped accounts)]タブを選択すると、前の期間には存在していたが、後続する期間に再アクセスしなかったユーザー(最大250人)が表示されます。
パネルの下部で[CSVをエクスポート(Export CSV)]を選択すると、選択したコホートの訪問者IDまたはアカウントIDのリスト全体を、選択したメタデータ値とともにCSV形式でダウンロードできます。選択したメタデータを追加し、[CSVを生成(Generate CSV)]を選択します。
リテンションレポートの保存と共有
レポートの作成と解釈が終わったら、レポートを保存しておくと、必要に応じて簡単に調査結果の確認とクエリの変更を行うことができます。また、保存時に調査結果を他のユーザーと共有することもできます。
- リテンションレポートを保存するには、ページの右上にある[保存(Save)]を選択します。
- [レポート名(Report Name)]と[説明(Description)]を入力します。
- Pendoサブスクリプションの他のユーザーがレポートを表示および編集できるようにするには、[可視性(Visibility)]を[全員(Everyone)]に更新します。(ユーザーアカウントに閲覧者の役割のみが割り当てられている場合は、[自分のみ(Only Me)]しか選択できません。)
- すばやくアクセスできるようにレポートを既存のダッシュボードに追加する場合は、[ダッシュボードに追加(Add to Dashboard)]ドロップダウンメニューからダッシュボード名を選択します。
- [レポートを保存(Save Report)]を選択します。これで、[行動(Behavior)]>[リテンション(Retention)]と[行動]>[すべてのレポートを表示(View all reports)]からレポートにアクセスできます。
リテンションレポートを保存する際の可視性に[全員(Everyone)]を選択していれば、契約しているすべてのPendoユーザーが[行動(Behavior)]>[リテンション]または[行動]>[すべてのレポートを表示(View all reports)]からそのレポートにアクセスできます。
可視性を更新する必要がある場合は、[保存済みレポート(Saved Reports)]ページからレポートを選択し、レポートの上部にある[共有(Share)]アイコンを使って[可視性(Visibility)]が[全員(Everyone)]に設定されているか確認し、ウェブブラウザのアドレスバーにあるURLを共有するか、[保存済みレポート]ページで表示できることを知らせます。
直接共有する代わりに、[リテンション]ウィジェットを使用してレポートをダッシュボードに追加し、そのユーザーとダッシュボードを共有することもできます。これを行うには、ダッシュボードに新しいダッシュボードウィジェットを追加するか、既存のレポートの上部にある[ダッシュボードに追加]を選択します。