ファネルは、アプリ内で定義された一連のステップを移動する訪問者の数を測定することができる行動レポートツールです。ファネルによって、お客様がどのステップで「離脱」したかを明確にできます。
その後、パスツールを使って、離脱ポイントからの訪問者のアクセス先を知ることで、訪問者がプロダクトをどのように使うかをよりよく理解することができます。ユーザーがたどるジャーニーを理解したら、ガイドを活用して、理想的とするジャーニーの各ステップで訪問者をリダイレクトし、ファネルの完了率を高めることができます。
この記事では、Pendo Engageでのファネルの解釈方法と作成方法について説明します。
ファネルの理解
ファネルは、特定のタスクやワークフローの完了など、アプリ全体の既知の一連のステップを追跡し、そのフローのどの部分で訪問者が離脱しているかを理解しやすくする機能です。たとえば、訪問者にホームページからスタートして、フィーチャーAを選択し、次にフィーチャーBを選択してほしい場合、ファネルを見れば訪問者がこの経路をたどったかどうかが分かります。
ファネルの分析オプション
Pendoでファネルを分析する方法は2つあります。ユニーク訪問者(Unique Visitors)と総試行(Total Attempts)の2つです。
どちらの分析方法を選択すべきかは、以下の表にある主な違いを参考にしてください。
ユニーク訪問者 | 総試行 | |
推奨されるユースケース | ユーザーがワークフローを完了する方法を知っているかどうかを確認する | ワークフローに詳しいユーザーのワークフロー完了回数を把握する |
解決できる疑問点 |
特定のワークフローを何人のユーザーが完了できているか 特定のワークフローを完了したユーザーのコンバージョン率はどのくらいか |
繰り返しのワークフローをユーザーが完了するまでにどのくらい時間がかかっているか 特定のワークフローの完了率はどのくらいか |
タイムアウト期間 | [日付範囲(Date Range)]の指定に従って測定(最大90日) | [分析基準(Analyze by)]セクションの[ファネルタイムアウト(Funnel timeout)]フィールドで測定(デフォルトは60分) |
複数のファネルエントリ | ステップが完了すると一度だけカウントされます。ファネルには、定義された順序内で各イベントを訪問者が最初にトリガーした時間が表示されます。 | 訪問者がファネルに複数回入った場合、各訪問は個別の試行としてカウントされます。訪問者がエントリイベントに再び入ると、その訪問者はファネルの先頭にリセットされます。 |
どちらのファネル分析タイプを使用すべきかわからない場合は、両方とも実行して結果を比較してみるとよいでしょう。ユニーク訪問者では、訪問者がファネルを完了したかどうかとコンバージョン率がわかります。総試行では、訪問者がファネルに入った回数と完了率がわかります。
ファネル完了の測定方法
ファネルでは、定義されたステップ間の中間イベントは無視されます。たとえば、ファネルのステップの流れをA→B→C→Dと定義したとします。
- 訪問者のステップがA→B→E→C→F→Dであった場合、指定したタイムアウト期間内にフローが完了した場合に限り、このファネルは完了としてカウントされます。
- 訪問者がA→B→C→Eと進みDを実行しなかった場合、3番目のステップを終えた時点で、これは未完了の試行として、カウント対象外になります。
- 訪問者がA→B→Dと進みCを実行しなかった場合、2番目のステップを終えた時点で、これは未完了の試行として、カウント対象外になります。
同じファネルでも、選択した分析タイプに応じて結果が異なる場合があります。その点についても検討しておきましょう。
- 1日目に、訪問者がステップAとBを実行します。
- 3日目に、その訪問者がステップCを実行します。
- 5日目に、その訪問者がステップCとDを実行します。
上記のシナリオを日付範囲を7日間として「ユニーク訪問者」で分析すると、この訪問者はそのファネルを完了するまでに5日かかったと示されます。
同じシナリオを、同様の日付範囲、タイムアウト期間1,440分(1日に相当)で「総試行」で分析すると、定義されたタイムアウト期間内に3つ目のステップに到達しなかったため、この訪問者は2つ目のステップでファネルから離脱したと示されます。
ファネルの作成
- 新しいファネルを作成するには、Pendo Engageで[行動(Behavior)]>[ファネル(Funnels)]に移動します。既に[保存済みレポート(Saved Reports)]ページを表示している場合は、[レポートを作成(Create Report)]>ファネル(Funnel)]を選択することもできます。
- 関連するドロップダウンメニューから、適切なイベントタイプ、アプリ、およびイベントを選択します。ファネルの起点となる部分です。
- [ファネルステップを追加(Add funnel step)]を選択し、ドロップダウンメニューから適切に選択します。必要に応じて、最大20ステップまで繰り返します。ファネルステップの順序を調整する必要がある場合は、正しい位置にドラッグアンドドロップできます。
- 必要に応じて、ドロップダウンメニューから[日付範囲]と[セグメント(Segment)]を選択します。デフォルトでは、これらの値は[過去30日間(Last 30 days)]と[全員(Everyone)]です。カスタム日付範囲の上限は90日です。
- データを[ユニーク訪問者]と[総試行]のどちらで分析するかを選択します。
- [総試行]を選択した場合は、必要に応じてデフォルトのタイムアウト期間の60分を変更します。[ユニーク訪問者]を選択した場合は、タイムアウト期間に日付範囲が使用されます。
- [保存して実行(Save & Run)]を選択して、[レポートを保存(Save Report)]ダイアログを開きます。
- [レポート名(Report Name)]を入力し、サブスクリプション内の他のユーザーがファネルを表示および編集できるようにしたい場合は、[表示(Visibility)]を[すべてのユーザー(Everyone)]に更新します。
- [レポートを保存(Save Report)]を選択し、ファネルを作成します。
保存した後は、[行動(Behavior)]>[保存済みレポート(Saved Reports)からファネルにアクセスできます。
ファネルの解釈
ファネルを作成すると、棒グラフの視覚化と表の内訳を読み込むのに数分かかる場合があります。各ファネルコンポーネントについては、以下で詳しく説明します。
グラフを分析する
ファネルセクションの上部には、次の2つの指標があります。
- 総コンバージョン率(Total conversion rate)。これは、指定された日付範囲内にファネルプロセスのステップを完了した訪問者の割合を示しています。また、全訪問者を対象に、完了した試行と総試行も記録されます。総試行ファネルでは、ここに繰り返された試行が含まれます。
- 平均完了時間。これは、訪問者がファネル内のすべての結合されたステップを完了するのにかかった平均時間を示しています。ユニーク訪問者ファネルの場合、ファネルを完了しなかった訪問者はこの指標から除外されます。
ファネルは指標の下にある棒グラフで表され、ファネルに追加された各ステップがこのグラフに含まれます。複数のアプリを選択した場合、グラフの上の凡例の色は、イベントを対応するアプリと関連付けるのに役立ちます。
各バーの濃い色の領域は、ファネルのそのステップに進んだ訪問者の数を示し、明るい色の領域はそのステップで離脱した訪問者の数を示します。
棒グラフにカーソルを合わせると、特定のステップに関する詳細情報が表示されます。
- ファネルを開始、継続、完了、または離脱した訪問者の総数と割合。総試行ファネルの場合、ここに全訪問者の全試行が含まれます。
- 訪問者が次のステップに進むまで、または前のステップから移動するまでにかかった平均時間。
- 選択したセグメントと日付範囲。
キーボードのTabキーを使用してホバー状態を有効化し、矢印キーでステップ間を移動することもできます。
ヒント:X軸のイベント名の前にあるアイコンを見ると、ステップに関連付けられているイベントの種類を簡単に理解することができます。折りたたまれた紙はページを、マウスポインタはフィーチャーを、稲妻はトラックイベントを示しています。
内訳を見る
[ファネルの内訳(Funnel Breakdown)]セクションには、グラフに表示されるデータを要約した表が表示されています。メインの表ビューは3つあり、これらは選択した内容に応じて異なります。
デフォルトで表示される最初のビューは、 [ファネルの内訳サマリー(Funnel Breakdown Summary)]です。このビューには、ユーザーの総コンバージョン率、ユニーク訪問者の総数または全訪問者の試行総数(選択した分析オプションによって異なる)、完了した訪問者の総数または試行の総数、平均完了時間、全訪問者の完了時間の中央値が表示されます。
2番目のビューは[ステップ別ファネルの内訳(Funnel Breakdown by Step)]です。このビューは、表のタイトル部分で[サマリー(Summary)]を選択し、[ステップ(Step)]を選ぶと、表示されます。このビューでは、内容が1ステップ1行で表示され、ユニーク訪問者の総数または全訪問者の試行総数(選択した分析オプションによって異なる)、各ステップのコンバージョン率、前のステップからそのステップまでにかかった全訪問者の平均時間が表示されます。
3番目のビューは [ステップの内訳(Step Breakdown)]で、棒グラフでステップを選択することで表示されます。選択すると、グラフ内のステップが暗い色で強調表示され、そのイベント名が表のタイトルに入ります。
- ステップの濃い色の部分を選択すると、表に[続行した訪問者(Visitor Continued)]データが表示され、特定のそのステップに進んだ訪問者、各訪問者がそのファネルステップに到達した日時、次のステップに到達するためにかかった時間がリスト化されます。訪問者がファネルのそのステップに進まなかった場合、[次のステップまでの時間(Time to Next Step)]には「--」と表示されます。
- ステップの明るい色の部分を選択すると、表に[離脱した訪問者(Visitor Dropped)]データが表示され、そのステップで離脱した訪問者がリスト化されます。
[続行した訪問者]または[離脱した訪問者]からビューを変更するには、棒グラフの別の部分を選択するか、表タイトルのドロップダウンメニューを選択します。
[ステップの内訳]ビューを終了して [ファネルの内訳サマリー]に戻るには、 [ビューをリセット(Reset view)] を選択するか、棒グラフで選択したステップの選択を解除します。
注:テーブルビューは、1ステップあたり10,000行に制限されています。ただし、次のステップに進んだ訪問者は前のステップの制限にはカウントされないため、10,000人を超える訪問者が表示される場合があります。ファネル内のすべてのイベントの訪問者データを表示する必要がある場合は、セグメントをより小さな訪問者コホートに調整することを検討してください。また、ステップをより具体的なワークフローに沿うように更新し、主要なナビゲーションボタンを避けることを検討することもできます。
内訳ビューをCSVファイルとしてエクスポートする場合は、テーブルセクションの右上にあるダウンロードアイコンを選択します。このエクスポートには、そのときに表に表示されているデータが入ります。
完了したかどうかに関係なく、ファネルに入ったすべての訪問者のリストをエクスポートする場合は、ページの右上にあるダウンロードアイコンを使用します。このエクスポートには、訪問者ID、各訪問者が完了したステップ数、および関連する各イベントのタイムスタンプが入ります。
ファネルの共有
ファネルを保存する際に可視性を[全員(Everyone)]を選択していれば、契約しているすべてのPendoユーザーが[行動(Behavior)]>[保存済みレポート(Saved Reports)]からそのレポートにアクセスできます。
可視性を更新する必要がある場合は、[保存済みレポート]ページからレポートを選択し、レポートの上部にある[共有]アイコンを使って[可視性]が[全員]に設定されているか確認し、ウェブブラウザのアドレスバーにあるURLを共有するか、[保存済みレポート]ページで表示できることを知らせます。