パスは、すべての利用状況から一般的な行動パターンを予測し、訪問者がアプリをどのように使っているかを確認することができる行動レポートツールです。使用することで、ユーザーがどのようにアプリを自然にナビゲートしているかを理解することができます。
この記事では、パスの理解や作成方法について説明します。
パスを理解する
パスとは、ページ、フィーチャー、トラックイベントなど、プロダクトの特定の部分を操作する前後に、訪問者がたどったジャーニー、もしくは一連のアクションを示すものです。各ステップでは、選択の前後にセグメント内の訪問者が使用した他のページ、フィーチャー、もしくはトラックイベントが表示されます。各ステップで実行したアクションはグループ化され、前のステップに対するイベントのパーセンテージの合計とイベント数が表されます。アプリ内では、それぞれのアクションの後に、ユーザーの次の行動が発生します。
ユーザーの行動が多様になればなるほど、各ステップに含まれるアクションの数が増え、実行されるアクションの合計に占める割合が低くなります。このような行動の分岐を分かりやすくするために、イベントのパーセンテージが最も高いアクションがステップの先頭にくるように並び替えて、前後に続く他のステップのアクションと併せて表示します。最もよく行われるユーザーアクションの順序は並び替えられ、パスの先頭に表示されます。
セグメントを使用して、訪問者が推奨ワークフローに従っているか、または他の行動へと逸脱しているかを測定できます。ページやフィーチャーの廃止を考えている場合は、そこにアクセスするためにユーザーが現在使っているのすべてのルートをパスで表示できます。対象となるガイドをその領域に配置すれば、ユーザーに変更を知らせることができます。
パスを作成する
- 新規パスを作成するには、Pendo Engageで[行動(Behavior)]>[パス(Paths)]に移動します。既に[保存済みレポート(Saved Reports)]ページを表示している場合は、[レポートを作成(Create Report)]>[パス(Paths)]を選択することもできます。
- 最初のドロップダウンメニューで、特定のイベントの[始点(Starting from)]パスを表示するか、[終点(Leading to)]パスを表示するかを選択します。
- [始点]では順方向パスが作成され、選択したイベントの後に訪問者が行ったすべてのアクションが表示されます。
- [終点]では逆方向パスが作成され、選択したイベントの前に訪問者が行ったすべてのアクションが表示されます。
- ページ、フィーチャー、トラックイベントや、関連するアプリ、特定のイベントなどから、行動を測定したいアクションに関連する適切なイベントを選択します。
- マルチアプリサブスクリプションをお持ちで、アプリ間のユーザー行動を追跡するパスが必要な場合は、[複数アプリ間でパスを追跡(Follow paths across apps)]を選択します。こうすることで、対象アクションを含むアプリとは異なるアプリにおける、後続の行動が表示されます。
- ドロップダウンメニューから適切な日付範囲(Date Range)を選択します。これを指定すると、パスが選択した日付範囲内で発生したイベントにしぼられます。日付範囲を選択しない場合、この値はデフォルトで過去30日間(Last 30 days)になります。
- ドロップダウンメニューから適切なセグメント(Segment)を選択します。既存のセグメントの検索や編集、新規セグメントの作成を実行できます。新規セグメントは、サブスクリプション内の全ユーザーに表示され、既存のセグメントを変更すると、そのセグメントを使用するレポートとガイドに影響します。セグメントを選択しない場合、この値はデフォルトで全員(Everyone)に設定されます。
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デフォルト設定では、パスは繰り返しのステップを集約し、10ステップで停止します。これらの設定を変更したい場合は、[詳細オプション(Advanced Options)]ドロップダウンリストを選択します。各設定については、以下の表で確認できます。
設定 説明 ページ、フィーチャー、またはトラックイベントを表示 パスには選択したイベントタイプのみが表示され、他のタイプのイベントは表示されません。
繰り返しのステップを集約する パスは、連続するイベントを新しいステップとしてカウントするのではなく、繰り返し行うアクションを1つのステップに集約します。これにより、冗長なアクションや誤ったクリックを取り除いて、パスの長さと複雑さを軽減できます。
たとえば、ユーザーの動作が[ページA]>[ページB]>[ページB]>[ページC]だとする場合、集約されたパスでは[ページA]>[ページB]>[ページC]と表示されます。
重複する訪問者パスを削除する ユーザーがまったく同一のアクションを複数回実行した場合、重複はすべて削除され、1回のみパスに表示されます。
例えば、ユーザーの行動が[ページA]>[ページB]>[ページC]>[ページA]>[ページB]>[ページC]>[ページA]>[ページB]>[ページD]だとした場合、重複を削除した後のパスは[ページA]>[ページB]>[ページC]>[ページA]>[ページB]>[ページD]と表示されます。
パスの最大ステップ数 パスに含めるステップ数を制限します。パスが長いほど詳細に表示できますが、必要以上に複雑になりデータセットの容量も大きくなるため、ロードに時間がかかります。
- クエリの作成が完了したら、[保存して実行(Save & Run)]を選択して[レポートを保存(Save Report)]ダイアログを開きます。
- [レポート名(Report Name)]を入力し、サブスクリプション内の他のユーザーがパスを表示および編集できるようにしたい場合は、[表示(Visibility)]を[すべてのユーザー(Everyone)]に変更します。
- [レポートを保存(Save Report)]を選択してパスを作成します。保存した後は、[行動(Behavior)]>[保存済みレポート(Saved Reports)からパスにアクセスできます。
パスを解釈する
レポートを実行して保存すると、対象イベントを始点または終点とするすべてのイベントがグラフに表示され、各イベントがステップにグループ化されます。各ステップでは、訪問者がそのターゲットイベントから(または、逆方向パスを作成した場合はそのターゲットイベントまで)のそれぞれのパスを確認できます。
個別パス
グラフでは常に、クリック数または閲覧数が最も多いイベントが一番上に並べられます。つまり、上部のパスは常にセグメント内で最も一般的な経路で、一般的ではない経路は下部に表示されることになります。
以下の例では、[商談(Opportunities)]というページから始まるパスを示しています。第2ステップ内のすべてのイベントは、訪問者が[商談]ページを閲覧した直後に発生し、それぞれのイベントは新しいパスの第2ステップとなります。各パスは、発生したイベントの順番によって分岐しています。これは、ステップの最大数に達するか、[次のステップなし(No Next Step)]または[前のステップなし(No Previous Step)]で示されるユーザーアクションが発生しない限り、すべてのステップで続行されます。
前のステップとの視覚的な配置に注目することで、イベントの順序を理解できます。たとえば以下の例では、[商談]ページから最初に最も一般的に使用されるパスは[詳細ページ(Details Pages)]>[メモ入力フィールド(Notes Entry Field)]>[メモ送信ボタン(Notes Submit Button)]>[ダッシュボード(Dashboard)]>[その他(Other)]となります。
注:ページとフィーチャーに重複するタグ付けルールがある場合、同じイベントグループ内で一致するすべてのページとフィーチャーが表示されます。上記の例の最初のパスは、「詳細ページ(Details Page)- すべて(Any)」が「詳細ページ(Details Page)- 商談(Opportunities)」と重複していることがわかります。これら2つのページは同じルールを共有しています。「詳細ページ-すべて」は、すべての詳細関連ページを取得するルールが含まれていますが、「詳細ページ-商談」は、商談の詳細ページのページ閲覧数のみを取得するように設定されています。
この例で2番目に一般的なパスは、[新規追加ボタン(Add New Button)]>[新規追加(Add New)-タイプセレクト(Type SELECT)]>[新規フォームに「OK」ボタンを追加(Add New Form "OK" Button)]>[その他(Other)]となります。
イベント以外
場合によっては、イベントに関連付けられていないステップがパスで表示されることがあります。それには以下のようなものが含まれます。
- 次/前のステップなし(No Next/Previous Step)。 少なくとも1人の訪問者がアプリを離脱したか、タグづけられていない機能を操作した場合。順方向パスには[次のステップなし(No Next Step)]と表示され、逆方向パスには[前のステップなし(No Previous Step)]と表示されます。
- その他(Other)。訪問者が次のステップに移った割合が低い場合。
- 縮小(Trimmed)。他のパスに比べて残っているステップ数が多く、訪問者数が少ない場合。
- 不明(Unknown)。パスが最後に生成されてから、タグ付けされたページまたはフィーチャーが削除された場合。レポートを再実行すると、更新されたパスが表示されます。
- タグなし(Untagged)。タグのないページが表示された場合。これがパスに表示されると、どのURLがタグ付けされていないかを示す[タグなしページ列(Untagged Pages column)]がテーブルに含まれます。
パーセンテージ
各ステップ内のそれぞれのイベントは、そのステップ内の他のイベントと比較したクリック数または閲覧数の割合によって並べ替えられます。
ステップ2のすべてのイベントはステップ1の直後に発生するため、ステップ2は包括的なパス内の1つのステップをまとめて表し、合計は100%になります。
ただし、ステップ2の各イベントは、さらなるステップに分岐する個別パスの始まりも示します。このような個別パスのステップに含まれるイベントは、その特定のシーケンス内の各アクションについて発生したイベントの割合を示し、個別パスのステップに含まれる全アクションのパーセンテージの合計は100%にリセットされます。つまり、個別パス内のイベントの前後のステップは、常に前または次のステップの100%に等しくなるということです。
表示を拡大する
イベントを選択して拡大し、その特定のイベントのパスに焦点を当てます。これにより、後続のすべてのステップがより詳細に表示され、拡張ビューでは表示されない追加のステップと統計情報が表示されます。
追加のステップを選択してさらに表示を拡大したり、マージンに隠れているステップを選択してそのステップまで表示を縮小することもできます。
パスの表示をリセットするには、グラフの左上にある[表示を縮小(Zoom Out)]ボタンを選択します。
変更されたURL
ページ移動中にURLが変更されるアプリケーションでは、パスデータが混同されることがあります。これは、URLリダイレクトやアンカータグなどの理由で発生する可能性があります。
たとえば、訪問者がナビゲーションボタンをクリックして「ホーム」ページから「概要」ページに移動した場合、Pendoは3つの異なるURLを認識します。アプリがホームページから概要ページに移動するときに、URLリダイレクトが行われるため、中間に追加のURLが発生します。
site.com/homepage → site.com/homepage/#→ site.com/aboutpage
訪問者は、アプリ内でホームページと概要ページの2ページしか見ていないと言うでしょうが、Pendoは3つの異なるURLを認識し、各URLを個別のページビューとしてカウントします。パスでは、この訪問者の経路は次のようになります。
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ページビュー:ホーム(URL site.com/homepageと一致)
-
フィーチャークリック:ナビゲーションボタン
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ページビュー:ホーム (ページルールがsite.com/homepageのURLと一致するため、site.com/homepage/#のURLと一致)
-
ページビュー:概要(URLsite.com/aboutpageと一致)
このため、URLダイレクトを意識しないと、トップページが2回目に表示されることになり、混乱する可能性があります。
テーブル概要を表示
グラフの下のテーブルには、現在選択しているアクションのデータが表示されます。これは、パスの左端(逆方向パスの場合は右端)にあるパスの中で最大のアクションであることを示します。このテーブルには、次のデータが表示されます。
- イベントの日時
- イベントをトリガーした訪問者のID
- 次のステップ(逆方向パスの場合は前のステップ)のイベント名
- 次のステップに進むまでにかかった時間(逆方向パスの場合は前のステップからかかった時間)
現在表示しているテーブルをCSV形式でダウンロードすることもできます。つまり、パス内の特定のイベントを選択してテーブル内のデータを変更すると、その時点でテーブルに表示されるデータがCSVに表示されるデータになるということです。すべてのパスをCSV形式でダウンロードする場合、ページの右上にあるアクションバーの[ダウンロード(Download)]アイコンを選択します。
パスを管理して共有
ページの右上にあるアクションバーから、パスの管理のためのフィーチャーにアクセスできます。
- パスを削除。サブスクリプション内のすべてのユーザーのパスを完全に削除する場合は、[削除(Delete)]アイコンを選択します。
- パスを複製。同じ新規パスを作成する場合は、[コピー(Copy)]アイコンを選択します。新規パスには、先ほど複製したパス名の前に「~のコピー(Copy of)」が入力されます。元のクエリを変更せずに既存のパスを編集したりテストしたりする場合や、特にパスがサブスクリプション内のすべてのユーザーに表示されている場合に便利です。
- パスを共有。[共有(Share)]アイコンを選択して、表示設定を[自分のみ(Only Me)]と[全員(Everyone)]の間で切り替えます。パスを保存する際に[全員(Everyone)]の表示を選択した場合、サブスクリプション内のすべてのPendoユーザーは[行動(Behavior)]>[保存済みレポート(Saved Reports)]からレポートにアクセスできるようになります。
- パスをダウンロード。パスの全データをエクスポートする場合は、[ダウンロード]アイコンを選択します。これは、テーブルに表示されるデータと同じですが、選択したイベントだけでなく、パス内のすべてのイベントに対するものです。CSVファイルには10,000行の制限があります。
- 変更を保存。パスに変更を加えた場合、[変更を保存(Save Changes)]を選択して、現在のクエリをレポートに保存します。このボタンは、レポートに未保存の変更がある場合のみ表示されます。
よくある質問
訪問者はステップとステップの間にどのくらい時間をかけることができますか?
訪問者のパスは、非アクティブ状態が60分間続くとタイムアウトします。対象の訪問者IDでイベントの生データが収集されない場合、非アクティブ状態とみなされます。訪問者が再びアクティブになると、新しいイベントによって新規のパスが始まります。
たとえば、[新規アカウントを追加]ボタンから始まるパスを作成すると、続く[新規アカウントを追加]フォームに対するページとフィーチャーの使用が表示されることが予想されます。訪問者がボタンをクリックしてパスを入力し、別のアプリケーションで作業して、その後会議に出席し昼食を済ませた後にフォームに戻って完了させた場合、その新しいアクティビティは先ほどのパスの継続として追跡されることはありません。グラフでは、その訪問者は離脱していたとみなされます。[新規アカウントを追加]ボタンを再度クリックすると、パスが再起動され、使用状況が通常どおりに追跡されます。
この処理方法は、大量のユーザーデータを分析する場合に発生する、正常な例外処理です。ほとんどのパスには大量のデータが含まれていることを考慮すると、そのような処理を行っても影響はほとんどない、または統計的に重要である可能性は低いと思われます。通常、この行動に気が付くのは、サンプルサイズが非常に小さいパスを表示している場合に限られます。
パスに表示されるクリック数と閲覧数が、タグ付けされたフィーチャーやページの数と一致しないのはなぜですか?
パスには、重複を削除し、定義したパスに含まれないイベントを除外する追加のロジックがあります。例えば以下のような例があります。
- [詳細オプション(Advanced Options)]で繰り返しのステップを集約し、重複する訪問者パスを削除することで、表示合計からイベントを除外できます。
- 連続したアクションは重複排除されるため、同じ1つのイベントのみがパスに表示されます。
- パスは、ワークフローの中で、同じフィーチャーのクリックの繰り返しや、同じページの閲覧、同じトラックイベントのトリガーを認識します。訪問者がこのようなアクションを繰り返した場合、ワークフローを再開したことになるので、前のパスの終了と新しいパスの開始の両方とみなされます。
パスは、使用量の総合計を提供するのではなく、ユーザーの行動の順序を視覚化することを目的としています。フィルターまたは条件ロジックを除く、フィーチャー、ページ、またはトラックイベントの合計使用量は、それぞれの詳細ページで確認できます。
現在のパスに表示される数字が、過去に実行したバージョンのパスと一致しないのはなぜですか?
パスの作成に使用するデータに影響を与える設定が多数あります。クエリと[詳細オプション]のパラメータは、パスの値とデータの表示方法に大きく影響します。日付範囲と[詳細オプション]に特に注意して、すべての設定が完全に同じであることを確認します。
旧バージョンまたは現在のバージョンのパスに「当日」からのデータが含まれている場合、訪問者がアプリを使用していると、Pendoは新しい使用状況データをリアルタイムで取得して処理しているため、データは動的に変化すると考えてください。
パスは、訪問者とアカウントのすべてのデータを参照するセグメントでフィルタリングした、すべてのフィーチャー、ページ、トラックイベントの使用状況データをもとに生成されます。タグ、メタデータ、または識別されたユーザーを変更すると、それに関連する使用状況も変更されることがあります。パスは連続的な使用行動のパターンを参照しているため、基礎となるデータを変更すると、パスには大きな影響が出ます。
フィーチャータグを変更すると、異なる日付、時間、訪問者が関連付けられているイベントの生データが特定されます。訪問者またはアカウントのメタデータを変更すると、アクションを実行したユーザーの異なるセグメントを特定することがあります。Pendoの遡及分析を使えば、インストール以降のすべての利用状況データを照会できますが、タグ付けされたフィーチャー、ページ、トラックイベントが追加、削除、変更されると、パスのような重要かつ動的なレポートの結果に影響を与えることがあります。
パスの結果は実行時点では正確です。どのレポートについても、生成に使用したデータを使えば同じ結果が得られます。レポート用のクリーンで一貫性のあるデータを確保するために、アプリケーションを変更する場合は、Pendoタグの監視および保守を行うことをおすすめします。